飲食店開業

【無料テンプレート】飲食店の損益計算書の作り方【わかりやすく簡単に解説】

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悩む人

「数字が苦手だけど、損益計算書を自分で作れるかな?」
「店舗の経営状況を把握したい、損益計算書の作り方を教えて!」
「飲食店の開業準備で損益計算書が必要!」

確かに損益計算書は、企業の経営成績を表す重要な財務諸表の一つですが、決して難しいものではありません。特に飲食店のように、日々の売上や費用が変動しやすいビジネスにおいては、損益計算書をこまめにチェックすることが、成功への鍵となります。

この記事では、初心者の方でも一からわかりやすく損益計算書の作り方を解説しています。テンプレートに沿って一つずつ意味を理解して、自店舗の数字を記入していきましょう。

損益計算書とは?飲食店経営に欠かせない理由を解説

損益計算書とは?飲食店経営に欠かせない理由を解説

損益計算書でわかること

損益計算書は、一定期間(月次、四半期、年間など)における、飲食店の経営成績を明らかにするものです。「売上高」「売上原価」「販売費及び一般管理費」などを表示することで、最終的にどれだけの利益(または損失)が生じたのかを把握することができます。

具体的には、以下の3つの要素で構成されます。

  1. 売上高:一定期間にどれだけ商品やサービスを販売したかを表す
  2. 費用:売上高を生み出すためにかかった費用の総額
  3. 利益:売上高から費用を差し引いた金額

損益計算書を見ることで、以下の情報を得ることができます。

  • 売上は順調に伸びているのか
  • 原価率は適切に管理できているのか
  • 人件費や家賃などの固定費は適正か
  • 最終的にどれだけの利益が出ているのか

飲食店が損益計算書を作成するメリット

飲食店が損益計算書を作成するメリットは、大きく分けて以下の3つが挙げられます。

メリット 詳細
経営状況の把握 売上や費用、利益の状況を把握することで、飲食店の経営状態を客観的に分析することができます。
問題点の発見と改善 原価率が高い、特定の費用がかさみすぎているなど、問題点を発見し、改善策を講じることができます。
資金調達の円滑化 金融機関から融資を受けたり、投資家から出資を受けたりする際に、損益計算書は必須の資料となります。

【無料エクセルテンプレート】飲食店の損益計算書を簡単に作成しよう!

「損益計算書って難しそう…」と思われた方もいるかもしれません。しかし、安心してください!無料で使えるテンプレートを使えば、簡単に損益計算書を作成することができます。

飲食店向け損益計算書テンプレート(Excel)

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※テンプレート内の数字は具体例です。

損益計算書作成の手順

テンプレートの使い方と合わせて、具体的な作成手順を解説します。

※このルールだけ守ってください。
諸経費や経常利益は全て、税抜きの金額で記入してください。
実際の請求書の金額ではなく、そこから1.1を割った、消費税が入る前の税抜価格で記入してください。

1. 売上高の記入

まずは、該当期間の売上高を記入します。売上高は、飲食店の収入源となるものであり、商品売上や飲物売上などが含まれます。テンプレートの売上高の欄に、それぞれの金額を入力してください。

2. 経費の記入

売上高を計上したら、次に、経費の記入を行います。経費は、売上原価、販売費及び一般管理費に分類されます。売上原価とは、商品や料理を提供するために直接かかった費用のことで、材料費や飲料費などが該当します。販売費及び一般管理費とは、販売活動や会社の管理活動のために間接的にかかった費用のことで、人件費や家賃、水道光熱費などが該当します。それぞれの項目に、該当する金額を記入していきましょう。

3. 経常利益の記入

売上高と経費の入力が完了したら、自動的に経常利益が算出されます。経常利益は、本業の儲けを表す重要な指標です。経常利益が黒字であれば、本業で収益を上げられていることを意味し、赤字であれば、本業で損失を出していることを意味します。

損益計算書の作り方【テンプレート】に沿って解説

損益計算書の作り方【テンプレート】に沿って解説
Excelをダウンロードしていただいて、損益計算書をご用意ください。必要でしたら、ブックマークお願いします。
ここでは、損益計算書の主要な項目について、具体的に解説していきます。各項目に入力するべき内容を理解し、正確な損益計算書を作成しましょう。

飲食店の売上とは?

飲食店の売上とは、お客様に商品やサービスを提供した対価として得られる収入のことです。主に、料理やドリンクやテイクアウトの販売による売上高が計上されます。

総売上高

総売上高とは、売上割引や値引などを差し引く前の売上総額のことです。POSレジなどで集計される売上データなどを元に、正確に計上しましょう。

純売上高

純売上高とは、総売上高から売上返品や値引きなどを差し引いた後の売上高のことです。実際の売上高をより正確に反映した金額といえます。

なぜ税抜きで計算するのか?

純売上高は、消費税を抜いた金額で計上します。これは、損益計算書が、企業の本来の事業活動による収益力を把握するためのものであり、消費税はあくまで預かり金に過ぎないためです。
ですので、純売上高が100%となります。

飲食店のFL(エフエル)コストとは?

FLコストとは、「Food(フード)」と「Labor(レイバー)」の頭文字をとったもので、飲食店における売上原価と人件費の合計金額のことです。飲食店経営において非常に重要な指標とされており、今の飲食店の数値では、FLコストが70%以下が損益分岐点のギリギリで、65%抑えられていることが理想とされています。

60%以下は大手飲食店企業がスケートメリット(大量発注)による仕入れ圧縮で可能な数字で、個人店が真似をすると、お客様満足度が低下する恐れがあるので、あくまで経営状態を見ながらコントロールするのがおすすめです。

原価費(フードコスト)

原価費とは、提供した料理やドリンクの材料費のことです。食材費、飲料費などが含まれます。原価率を適切に管理することが、飲食店経営の安定に繋がります。

原価の計算式は

前月の棚卸額(期首棚卸額)+今月の仕入れ額(今期仕入)-今月の棚卸額(期末棚卸額)=今月の原価使用額(実際原価)

粗利益

粗利益は、売上高から売上原価を差し引いた金額のことです。「粗利」とも呼ばれます。粗利益は、人件費や家賃などの固定費を支払うための原資となるため、非常に重要な指標となります。

粗利益の計算式は

純売上高-原価費=粗利益

なぜこの数字がいるのか?

粗利益を把握することで、売上に対して適切な原価率で商品を提供できているか、適正な価格設定ができているかを判断することができます。粗利益率が低い場合は、食材の仕入れ価格を見直したり、メニュー価格を改定したりするなどの対策が必要となります。

人件費(レイバーコスト)

人件費とは、パート・アルバイトの給与、正社員給与・賞与(ボーナスを月割り)・法定福利費・福利厚生費です。

ここでは個人経営者の場合、経営者の給与は含みません。経営者の給与は経常利益とイコールです。

飲食店のその他経費とは?

その他経費には、以下のようなものが挙げられます。

水道光熱費

水道・ガス・電気代(動力・電力)などです。

最近では、LEDの電球レンタル費も含まれたりします。水道光熱費は、純売上高の5%以下におさえることが理想です。

衛生費

マット・害虫駆除・ゴミ処理費・店舗清掃費・ユニホームレンタルなどです。店舗の衛生に関する費用がこの衛生費です。

消耗品費

資材・おしぼり・食器・洗剤・備品類・事務用品などです。食器費に関しては、会社によっては、別に経費として消耗品費から外すこともあります。

修繕費

厨房機器や設備修理費などです。

個人的には、修繕費は毎月数万を利益から積立しておくことをおすすめします。急な大きな出費になる時があるからです。

広告販促費

チラシ広告費・ホームページ管理費用・広告代行管理費などです。

広告販促費は、純売上高の5%以下におさえることが理想です。

それ以上支払っている場合は、費用対効果が高い広告に見直したほうがいいです。

通信費

通話料・プロバイダー料・音響料などです。

保守料

POSレジシステムの保守料など、メンテナンス料や保守に入っている設備の費用になります。

保安費

警備費・保安費です。

雑費

上記にあてはまらない費用が雑費になります。

とはいえ、雑費が増えていくと、せっかく損益計算書を作成しているのに、経費が見えづらくなります。

なるべく、雑費にするよりも、新しい勘定科目を作成して見える化したほうがいいと思います。

飲食店の管理利益とは?

管理利益

管理利益とは、粗利益から販売費及び一般管理費を差し引いた利益のことです。飲食店の本業に関わる売上高から、原価、人件費、家賃などの費用を差し引いた利益であるため、飲食店経営の効率性を示す指標となります。管理利益が大きいほど、効率的に利益を上げられていることを意味します。

管理利益の計算式は

粗利益-一般管理費=管理利益

飲食店の固定費とは?

飲食店の固定費とは、売上の増減に関わらず、毎月一定額発生する費用のことです。人件費や家賃などが該当します。固定費を把握することで、損益分岐点の計算などが可能となります。

減価償却費

ひと言で言うと、開業時に設備全体にかかった費用です。それを毎月経費として分割して計上することができます。

計算式は複雑なので割愛しますが、ここで理解してもらいたいのは、投資額を毎月経費として分割して計上できる経費を減価償却費です。

正しい減価償却費の計算は、税理士さんにお任せするとして、

おすすめの減価償却計算は、

初期費用÷〇年÷12カ月=1ヵ月の経費
例)1000万÷7年÷12カ月=1ヵ月の経費 12万弱
で簡単に計算して当てはめるのが、おすすめです。理由は、7年で初期費用を回収したいからです。これを5年で回収する目標があれば、5年でも良いと思います。

地代家賃

店舗を借りている場合に発生する費用です。基本的には、純売上高の10%以下が理想です。

つまり家賃の10倍は売上をつくることが利益を安定して確保できる体質です。家賃の最低10倍は売れる物件選びが重要です。

最強はFLR=70%以下

  • Fはフードコスト、原価
  • Lはレイバーコスト、人件費
  • Rはレント、家賃
  • 原価率+人件費率+家賃費率=純売上高比の70%以下になることが最終目標であり、超繁盛店の仲間入りです。
最強はFLR=70%以下

FLRとは、「Food(フード)」「Labor(レイバー)」「Rent(レント)」の頭文字をとったもので、売上高に対するFLコストと家賃の合計の割合のことです。飲食店経営においては、このFLRが70%以下に抑えられていることが理想とされています。

原価や人件費は落とせませんが、超繁盛店になれば、家賃比率を限りなく下げることが可能です。

リース料

厨房機器などをリースしている場合に発生する費用です。リース契約の内容によっては、固定費に分類されます。

飲食店の経常利益とは?

経常利益

経常利益とは、企業が本業でどれだけの利益をあげることができたかを示す指標です。飲食店の場合、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費、営業外費用を差し引いた金額が経常利益となります。飲食店の本業の収益力を測る上で非常に重要な指標です。

損益計算書を活用した飲食店の経営分析

損益計算書を活用した飲食店の経営分析
損益計算書を作成したら、それを活用して経営分析を行うことが重要です。主な分析項目は以下の点が挙げられます。

売上分析

  • 前年比や前月比で売上高を比較し、売上推移を把握する
  • 客単価や来店頻度などを分析し、売上増加のための施策を検討する
  • 売上構成比を分析し、売上の柱となる商品やサービスを把握する

原価分析

  • 原価率を算出し、食材の仕入れ価格やメニュー価格の見直しを検討する
  • 廃棄率を把握し、食材の適切な発注量を検討する
  • 原価率の高いメニューを分析し、改善策を検討する

費用分析

  • 人件費率を算出し、適切な人員計画やシフト管理を検討する
  • 家賃や水道光熱費などの固定費を見直し、コスト削減を検討する
  • 広告販促費の効果を検証し、費用対効果の高い広告展開を検討する

利益率分析

  • 売上高営業利益率や売上高経常利益率などを算出し、収益性を分析する
  • 損益分岐点売上高を算出し、目標とする利益を達成するために必要な売上高を把握する

飲食店の損益計算書作成に関するよくある質問

最後に、飲食店の損益計算書作成に関するよくある質問に回答します。

Q. 損益計算書は、必ず作成しなければならないのですか?

A. 法律で義務付けられているわけではありませんが、飲食店の経営状況を把握し、改善するために、損益計算書の作成は非常に重要です。作成することで、経営の透明性が向上し、金融機関からの融資を受けやすくなるなどのメリットもあります。

Q. 損益計算書の作成頻度は、どのくらいが適切ですか?

A. 少なくとも月に1度は作成することをおすすめします。日々の売上や費用をこまめにチェックすることで、問題点を早期に発見し、適切な対策を講じることができます。また、四半期や年間で損益計算書を作成し、長期的な視点で経営状況を分析することも重要です。

Q. 損益計算書の作成が難しい場合は、どうすればよいですか?

A. 会計ソフトを利用したり、税理士などの専門家に相談したりすることをおすすめします。会計ソフトを利用することで、簡単に損益計算書を作成することができます。また、専門家に相談することで、損益計算書の解釈や分析、改善策の提案などを受けることができます。

まとめ:損益計算書で飲食店の経営をもっとスムーズに!

損益計算書で飲食店の経営をもっとスムーズに
今回は、飲食店向けに、損益計算書の基本から作成方法、活用方法まで解説しました。難しいと感じていた方も、今回の内容を参考に、ぜひ損益計算書を活用してみてください。

損益計算書は、飲食店の現状を正しく把握し、未来に向けた経営戦略を立てるための強力なツールです。積極的に活用することで、よりスムーズで安定した経営を実現できるでしょう。

さらに詳しく損益計算書の作り方や分析方法を知りたい方はご相談ください。飲食店ITコンサルタントが無料でご相談にのります。

飲食店開業から繁盛店までの道のりをロードマップにまとめた記事はこちら➤









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