「飲食店を開業したいけど、資金はどれくらい必要なの?」
飲食店を開業するには、物件取得費や厨房設備費など、多額の費用がかかります。
開業資金をすべて自己資金で賄うのは難しく、多くの方は金融機関からの融資や補助金・助成金を活用して資金調達を行います。資金調達をスムーズに行うためにも、まずは、どのくらいの自己資金が必要なのか、その目安を把握することが重要です。
この記事では、飲食店を開業するために必要な自己資金の目安、自己資金が足りない場合の資金調達の方法について解説していきます。ぜひ、最後まで読んで、飲食店開業を実現するための資金計画にお役立てください。
飲食店開業にかかる費用とその内訳
飲食店を開業するには、さまざまな費用が発生します。大きく分けて、「開業資金」と「運転資金」の2種類があり、開業資金はさらにいくつかの項目に分類されます。まずは、それぞれの費用について詳しく見ていきましょう。
開業資金の内訳
飲食店の開業資金は、一般的に以下の10個の項目に分類されます。
項目 | 内容 |
---|---|
物件取得費 | 敷金、保証金、仲介手数料、前家賃など |
内外装工事費 | 厨房の設計・施工、客席のインテリア工事など |
厨房設備費 | 冷蔵庫、オーブンレンジ、コンロ、調理器具など |
客席設備費 | テーブル、椅子、食器、レジなど |
備品・什器費 | エアコン、照明器具、看板、メニュー表など |
広告宣伝費 | チラシ作成、ホームページ制作、広告掲載など |
人件費 | 従業員の募集費用、研修費用など |
運転資金 | 開業後の仕入費用、人件費、家賃などの運転資金 (運転資金は、一般的に3ヶ月~6ヶ月分を目安に準備します。) |
許認可費 | 飲食店営業許可、食品衛生責任者資格取得費用など |
その他費用 | 開業コンサルタント費用、開業セミナー参加費用など |
飲食店開業費用の相場
飲食店の開業費用は、店舗の規模や業態、立地などによって大きく異なります。居抜き物件を取得する、内装工事を簡素化するなど、工夫次第で費用を抑えることも可能です。おおよその目安として、以下の表をご覧ください。
業態 | 規模 | 開業費用の相場 |
---|---|---|
カフェ | 10坪 | 500万円~1,500万円 |
レストラン | 20坪 | 1,000万円~3,000万円 |
居酒屋 | 30坪 | 1,500万円~5,000万円 |
飲食店の種類別に見る開業費用の違い
同じ飲食店でも、業態によって開業費用は大きく異なります。例えば、カフェは比較的小規模で開業できるため、開業費用が比較的安価である傾向があります。一方、レストランは、厨房設備や内装工事などに費用がかかりやすいため、開業費用が高額になる傾向があります。
自己資金はなぜ必要?
「開業資金は融資で賄えるから、自己資金は少なくても大丈夫」と考えていませんか? 飲食店を開業する上で、自己資金は非常に重要な役割を担っています。なぜ自己資金が必要なのか、詳しく解説していきます。
自己資金の役割と重要性
自己資金は、主に以下の3つの役割を担っています。
- 事業に対する信用力
金融機関は、融資を判断する際に、事業計画の内容だけでなく、事業主の自己資金の額も重視します。自己資金が多いほど、事業主が事業に真剣に取り組んでいると判断され、融資を受けやすくなります。 - 経営の安定化
開業当初は、思うように売上
が上がらないことも予想されます。自己資金があれば、売上が安定するまでの運転資金に充てることができ、経営を安定させることができます。 - 返済リスクの軽減
融資を受ける場合、当然ながら返済義務が発生します。自己資金が少ない状態で多額の融資を受けると、返済負担が大きくなり、経営を圧迫する可能性があります。自己資金を多く用意することで、返済リスクを軽減することができます。
金融機関が融資を判断するポイント
金融機関は、融資を判断する際に、以下の4つのポイントを重視します。
- 人物評価
事業主の人柄、経営能力、熱意などを総合的に評価します。 - 事業性評価
事業計画の内容、市場調査、競合分析などを評価します。 - 担保評価
不動産や有価証券など、融資の担保となる資産を評価します。 - 金融機関との取引状況
過去の借入金の返済状況、預金残高などを評価します。
【タイプ別】飲食店開業に必要な自己資金の目安
飲食店を開業するために必要な自己資金の目安は、業態や規模、立地などによって異なり、一概には言えません。
一般的には、開業費用の20%~30%程度が目安と言われています。つまり、開業費用が1,000万円の場合、200万円~300万円程度の自己資金が必要になる計算です。ただし、自己資金が多いほど、金融機関からの融資を受けやすくなるため、できるだけ多くの自己資金を準備することが望ましいです。
以下は、業態別の自己資金の目安です。あくまでも目安なので、開業するお店の規模や立地などを考慮して、資金計画を立てましょう。
業態 | 開業費用の目安 | 自己資金の目安 |
---|---|---|
カフェ | 500万円~1,500万円 | 100万円~450万円 |
レストラン | 1,000万円~3,000万円 | 200万円~900万円 |
居酒屋 | 1,500万円~5,000万円 | 300万円~1,500万円 |
カフェを開業する場合
カフェは、比較的小規模で開業できるため、他の業態に比べて自己資金は少なめでも開業しやすいでしょう。ただし、近年は、競合店も増加しており、差別化が難しい状況です。独自のコンセプトやメニュー開発、SNS を活用した効果的な宣伝など、工夫を凝らすことが重要です。
レストランを開業する場合
レストランは、カフェに比べて開業費用が高額になる傾向があるため、自己資金もしっかりと準備する必要があります。また、食材の仕入れや調理方法など、専門的な知識や技術が必要となる場合もあります。料理人としての経験や、経営ノウハウを学ぶなど、事前の準備が重要です。
居酒屋を開業する場合
居酒屋は、客単価が比較的安価なため、売上を上げるためには、多くのお客様を集客する必要があります。立地条件やターゲット層を考慮した店舗選び、魅力的なメニュー開発、効果的な宣伝活動など、集客戦略が重要になります。
自己資金が足りない!そんな時はどうする?
「飲食店を開業したいけど、自己資金が足りない…」
そんな場合は、金融機関からの融資や、補助金・助成金などを活用して資金調達を行う必要があります。ここでは、具体的な資金調達方法について解説していきます。
金融機関からの融資
金融機関からの融資には、大きく分けて以下の3つの種類があります。
- 日本政策金融公庫
- 信用保証協会付き融資
- 民間金融機関からの融資
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、政府系金融機関であり、創業融資や新規事業融資など、中小企業向けの融資制度を数多く用意しています。
比較的低金利で融資を受けられること、無担保・無保証で融資を受けられる制度もあることがメリットです。ただし、審査が厳しく、融資までに時間がかかる場合があることに注意が必要です。
信用保証協会付き融資
信用保証協会付き融資とは、信用保証協会が金融機関に対して債務保証を行うことで、事業者が金融機関から融資を受けやすくする制度です。信用保証協会は、都道府県や市町村が設立した公的機関であり、事業者の信用力を補完する役割を担っています。
信用保証協会付き融資を利用することで、比較的低金利で融資を受けられること、無担保で融資を受けられる場合があることがメリットです。ただし、信用保証協会による保証料が発生することに注意が必要です。
民間金融機関からの融資
民間金融機関からの融資には、都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合などがあります。日本政策金融公庫や信用保証協会付き融資に比べて、金利が高めに設定されている場合が多いですが、審査が迅速であること、事業内容によっては高額な融資を受けられる場合があることなどがメリットです。
ただし、金融機関によって、融資条件や審査基準が異なるため、事前にしっかりと比較検討する必要があります。
補助金・助成金の活用
補助金・助成金とは、国や地方自治体などが、特定の事業に対して資金を提供する制度です。返済不要であることが最大のメリットですが、申請資格が厳しかったり、採択率が低かったりする場合もあるため、注意が必要です。
補助金・助成金には、創業支援、雇用促進、設備投資など、さまざまな種類があります。飲食店開業に活用できる補助金・助成金を探してみましょう。
クラウドファンディング
CAMPFIREやREADYFORやMakuakeなどのクラウドファンディングサイトを通じて、不特定多数の人から資金を募る方法です。返済義務がない資金調達方法として近年注目されています。ただし、目標金額を達成できない場合、資金調達できない場合もあることに注意が必要です。
資金調達方法を選ぶ上での注意点
資金調達方法は、それぞれメリット・デメリットがあります。ご自身の状況や事業計画に合わせて、最適な方法を選択することが重要です。資金調達を行う際には、以下の点に注意しましょう。
- 返済計画
融資を受ける場合は、返済計画をしっかりと立てておくことが大切です。無理のない返済計画を立てることで、経営を圧迫することなく、事業を継続することができます。 - 金利や手数料
融資を受ける場合は、金利や手数料についても確認しておきましょう。金利や手数料は、金融機関や融資制度によって異なります。 - 資金使途
資金調達を行う場合は、資金使途を明確にしておきましょう。資金使途が明確であるほど、金融機関からの信頼を得やすくなるでしょう。
飲食店開業資金に関するよくある質問
飲食店開業資金に関してよくある質問に回答します。
開業資金はいくらくらい必要ですか?
飲食店の開業資金は、業態、規模、立地などによって大きく異なりますが、一般的には500万円〜3,000万円程度が相場と言われています。居抜き物件を取得する、内装工事を簡素化するなど、工夫次第で費用を抑えることも可能です。
自己資金はどれくらい必要ですか?
自己資金は、一般的に開業費用の20%~30%程度が目安と言われています。自己資金が多いほど、金融機関からの融資を受けやすくなるため、できるだけ多くの自己資金を準備することが望ましいです。
自己資金が少なくても開業できますか?
自己資金が少なくても、金融機関からの融資や補助金・助成金などを活用することで、開業資金を調達することができます。ただし、自己資金が少ない場合は、金融機関からの融資審査が厳しくなる場合があるため、注意が必要です。
また、開業後の資金繰りが厳しくなる可能性もあるため、綿密な事業計画を立てておくことが重要です。
まとめ|十分な準備をして飲食店開業を成功させましょう!
この記事では、飲食店開業に必要な自己資金について解説しました。飲食店を開業するには、多額の資金が必要となります。
しかし、資金調達の方法はいくつかありますので、諦めずに、自分に合った方法を検討してみましょう。しっかりと計画を立て、十分な準備をすることで、飲食店開業を成功に近づけることができます。
個人店の開業を詳しくロードマップにしました!チェックリストをご用意して、開業までの道のりをサポートする記事となっております。
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1979年生まれ。飲食店で経営陣として15年、居酒屋・焼肉・焼き鳥・バル・カフェなど複数店舗を立上げ、その経験から飲食店経営のコツをコラムとして記載しております。現在は、飲食店ITコンサルタントと、集客と求人に強い格安ホームページ制作企業で100件以上の実績があります。
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