Net構築

「インターネットの通信方式の新旧①」

インターネットの通信方式の新旧

普段、家庭や職場で使用している端末のほとんどは、インターネットなどのネットワークに接続されていると思います。

Webサイトを閲覧したり、動画を見たり、SNSを行ったりと用途は多岐にわたります。
ご存じの方も多いと思いますが、端末がネットワークに接続するためにはIPアドレスと呼ばれる端末を識別する番号を付与する必要があります。
WiFiルーターなどを設定するときに見かける「192.168.0.1」のような番号がIPアドレスです。

IPv4の後継として「IPv6」への移行

IPアドレスについて今更特筆することでもありませんが、上記のような8ビットの数値を用いた4つのグループから構成されているアドレスを「IPv4」と呼ばれ、約42億種類のアドレスを持つことができますが、ずいぶん前から枯渇が懸念されております。
IPv4の後継として「IPv6」への移行が世界中で進められておりますが、既存のIPv4をいきなり入れ替えることは難しく、旧方式の互換を保ちつつ新方式に移行している状況になっています。

単純なアドレスだけの移行であればそこまで面倒ではないと思いますが、インターネットなどの通信サービスには基本的に事業者を介して接続する必要があります。
そのためにIDやパスワードなどで契約者を識別して接続するための通信(認証)手段が必要になります。

IPv4(PPPoE)によるインターネット

IPv4(PPPoE)によるインターネットの図解
IPv4の一般的な通信手段として、PPPoEがあります。普及している形態としてプロバイダから貸与されたルーターに設定情報を登録することでインターネットに接続する方式です。
上図がIPv4のよくある通信形態です。CGNやカプセル化などは次回以降に説明予定です。

IPv6ではPPPoEに加えてIPoEという従来とは異なる通信方式も使用可能になりました。
IPv4のみの時代は基本的に「回線業者+プロバイダ」で通信方式が決まっていたため、VPNやサーバの公開に難はなかったのですが、IPv6のIPoEではこれが少々ややこしくなりました。

IPoEではIPv4通信をIPv6の通信にカプセル化して送信するという仕組みになっておりIPv4 over IPv6と呼ばれています。
更にその仕組みはDS-LiteやMAP-E、IPIPなどに分類され、内部の通信が微妙に異なっております。

そしてそれらを提供するサービスとしてIPv6 IPoEやIPv4 over IPv6、transix、v6プラス、OCNバーチャルコネクト、v6オプションといった名称で提供されています。

IPoEがややこしくなった原因

「回線業者+プロバイダ+VNE」という構成が表に出てきていることが原因と思われました。
従来のIPv4においてもプロバイダはVNEのような上位のプロバイダと通信を行っていることが多いですが、これがインターネットの契約や接続の際に表に出てくることはありませんでした。
(詳しく知りたい方は、BGPのルーティングやAS、マルチホームなどを検索ください)

また、私見ですが仕組み自体もややこしい表現になっていると思っています。 DS-Lite(有名ゲーム機と同名)という名称だけでも十分混同しますが、このDS-Lite=デュアルスタックライトにはlw4over6(Lightweight 4over6)というDS-Liteの軽量版みたいな規格もあったりします。

軽量デュアルスタック軽量版・・・直訳するとこんな感じです。
業者間で会話していても、IPv6をv6と呼んでいるのかサービス名称(v6オプションやv6プラス)を指しているのか、といった問題も発生します。

また、VNEが表に出てきていることから自身が契約したプロバイダはA社なのに、インターネット上のホスト名がB社だったりします。
このように複雑な仕組みになっており、私もきちんと理解できておらず間違っている部分もあるかと思います。

複雑さゆえにIPv6の普及がスムーズにいかない原因とも考えられます。
ユーザーとして通信方式の種類や仕組みを意識することはありませんが、サービス提供側としてはIPv4とIPv6の両方式に対応したサービスを提供する必要があります。

次回はもう少し視覚的に説明できればと考えております。

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