飲食店の経営者や店長の方は、アルバイトの定着率に課題を感じていませんか?
飲食業界は、人手不足が深刻化しており、アルバイトの採用・定着が大きな課題となっています。せっかく採用したアルバイトがすぐに辞めてしまうと、人材育成にかかった費用や時間、そしてお店の運営にも悪影響を及ぼします。
そこでこの記事では、
飲食店におけるアルバイトの定着率向上、そしてモチベーションアップに繋がる効果的な施策として、「定期個人面談」について解説していきます。また、個人面談のメリットや、やり方、コーチングなど詳しく解説してます。
飲食店アルバイトと個人面談をするメリットは
個人面談というと、社員に対して行うイメージが強いですが、アルバイトに対しても定期的に個人面談を行うことは、非常に有効です。
アルバイトの自主的な目標設定
アルバイトは、自分の仕事内容や将来像について、漠然としたイメージを持っている場合が多いです。定期的な個人面談を通して、具体的な目標設定を促すことで、アルバイト自身のモチベーションを高め、仕事への意欲を高めることができます。
アルバイトの不安や悩みの解消
アルバイトは、仕事内容や人間関係で不安や悩みを抱えていることがあります。しかし、なかなか上司や店長に相談しづらいと感じている場合も多いです。定期的な個人面談を通して、アルバイトが抱えている不安や悩みを聞き出すことで、早期解決に繋げることができ、安心して働き続けられる環境を作ることができます。
アルバイトとの信頼関係を深める
定期的な個人面談を通して、アルバイト一人ひとりのことを理解し、個性を尊重することで、より強い信頼関係を築くことができます。信頼関係が構築されることで、アルバイトはお店に愛着を持ち、長く働き続けたいという気持ちを持つようになります。
アルバイトのモチベーションUP
アルバイトは、自分の仕事が評価されていないと感じると、モチベーションが低下し、退職を考える可能性があります。定期的な個人面談を通して、アルバイトの頑張りを認め、具体的なフィードバックを与えることで、モチベーションを維持し、さらなる成長を促すことができます。
アルバイトと店舗目標の共有
アルバイトは、お店の目標や将来像を理解していない場合も多く、ただ指示された仕事をするだけの状況になっているかもしれません。定期的な個人面談を通して、お店の目標やビジョンを共有することで、アルバイトは自分の仕事がお店の全体目標に貢献していることを実感し、モチベーションを高めることができます。
飲食店アルバイトとの個人面談はコーチングが基本
アルバイトとの個人面談では、単に仕事ぶりを評価するだけでなく、彼らの成長をサポートするコーチングの要素を取り入れることが重要です。
コーチングとは
コーチングとは、相手が目標達成を支援する対話型のコミュニケーション手法です。相手の潜在能力を引き出し、自主的な行動を促すことで、自己成長を支援します。
ティーチングとコーチングの違いとは
コーチングと似た言葉に「ティーチング」がありますが、両者は明確な違いがあります。ティーチングは、知識や技術を教える一方的な指導方法です。一方、コーチングは、相手自身の考えや行動を促し、自己成長を支援する双方向的なコミュニケーション方法です。
項目 | ティーチング | コーチング |
目的 | ・知識や技術を教える | ・目標設定のサポート・モチベーションUP |
教わる側 | ・新人アルバイト向け | ・中堅以上のアルバイト向け |
教育方法 | ・直接的に教える・答えを教える | ・間接的に教える・答えを引き出す |
やり方 | ・指導の4STEP | ・質問・傾聴 |
使うタイミング | ・現場で、オペレーションの基本知識や技術を教える時・席について、基本マインド・規律を教える時 | ・現場で、質問形式で教育する時・席について、じっくりコミュニケーションをとる時 |
メリット | ・効率的に教えられる・多人数同時に教えられる | ・自主性や積極性が生まれる・考える力が養う |
デメリット | ・指示待ちの人材になる(言われたことしかできない)・自分で考えて行動できない | ・時間がかかる(コストがかかる)・一人ずつしかできない |
飲食店アルバイトとの個人面談では、ティーチングではなく、コーチングの要素を取り入れることで、アルバイトの主体性を引き出し、より効果的に成長を支援することができます。
コーチングの流れ
コーチングは、以下の3つのステップで構成されます。
コーチングの質問とは
コーチングでは、相手自身の考えや行動を促すための質問が重要です。質問によって、相手は自分の状況や課題を深く理解し、解決策を見つけるためのヒントを得ることができます。
具体的な質問例としては、以下の様なものが挙げられます。
- 「仕事でどんなことにやりがいを感じますか?」
- 「仕事で難しいと感じていることはありますか?」
- 「今後、どんなスキルを身につけたいですか?」
- 「どのようにしたら、もっと仕事を楽しめると思いますか?」
これらの質問を通して、アルバイトの仕事に対する考え方や目標、課題などを理解することができます。
コーチングの傾聴とは
傾聴とは、相手の話をじっくりと聞き、理解しようと努めることです。ただ言葉で聞くだけでなく、相手の表情や態度にも気を配り、真摯に耳を傾けることが大切です。
傾聴することで、アルバイトは自分の話をきちんと聞いてもらえていると感じ、安心感を抱くことができます。また、話すことで自分の気持ちや考えを整理し、解決策を見つけるヒントを得ることもできます。
コーチングの承認とは
承認とは、相手の頑張りを認め、その行動や努力を評価することです。具体的な行動を挙げながら、その行動がどれほど価値のあるものだったかを伝えることが重要です。
承認することで、アルバイトは自分の努力が認められたと感じ、モチベーションを高めることができます。また、自信を持つことで、より積極的に仕事に取り組むようになるでしょう。
例えば、「お客様から『〇〇さんの接客は丁寧で気持ちよかった』と褒められていましたよ。お客様を笑顔にできたことは素晴らしいですね。」のように、具体的な行動と評価を結びつけることで、より効果的な承認になります。
飲食店アルバイトとの個人面談の流れ
飲食店アルバイトとの個人面談は、以下の様な流れで行うのがおすすめです。
アルバイトの人事評価表で項目チェックしておく
個人面談前に、アルバイトの人事評価表を作成しておくことで、面談をスムーズに進めることができます。
評価項目としては、以下の様なものが挙げられます。
- 勤怠状況
- 仕事への取り組み方
- コミュニケーション能力
- チームワーク
- 顧客対応
- 業務知識
- 成長意欲
これらの項目を参考に、お店にとって重要な評価項目を具体的に設定しましょう。評価項目は、アルバイトの職種や役割によって調整する必要がある点に注意が必要です。
評価項目の作り方から、面談の進め方、そして具体的な評価シートのテンプレートを用いて、詳しく解説してます➤
定期面談にて、フィードバックとコーチングで面談する
個人面談では、事前に作成した人事評価表に基づき、アルバイトの仕事ぶりを評価し、フィードバックを行います。
フィードバックを行う際には、以下のポイントを意識しましょう。
- 具体的な行動を挙げる
- 褒める言葉と改善点をバランス良く伝える
- 改善点に対しては、具体的な提案をする
- アルバイトの意見を聞く
フィードバックの後には、コーチングを通して、アルバイトの成長を支援します。
コーチングでは、以下の様な質問を投げかけることで、アルバイト自身の考えを引き出し、成長を促すことができます。
- 「今回の評価について、どう思いますか?」
- 「今後、どのように成長していきたいですか?」
- 「どんなスキルを身につけたいですか?」
- 「お店のために、どんなことができると思いますか?」
本人に新たな目標を設定してもらう
個人面談の最後には、アルバイト自身に具体的な目標を設定してもらいましょう。目標設定を通して、アルバイトは仕事に対するモチベーションを高め、成長意欲を高めることができます。
目標設定は、SMARTな目標設定が効果的です。SMARTとは、以下の頭文字をとったものです。
- Specific(具体的): 目標は明確で具体的に定義されている必要があります。誰が、何を、どこで、なぜ、どのように行うのかをはっきりさせます。例:「注文を早く処理する」ではなく、具体的に「注文を受けてから提供するまでの時間を平均5分以内にする」
- Measurable(測定可能): 目標は数値や指標で測定できるものでなければなりません。進捗や達成度を確認できるようにします。例:「サービスを向上させる」ではなく、「1ヶ月以内に顧客アンケートのサービス評価を85%以上にする」
- Achievable(達成可能): 目標は現実的で、実現可能なものでなければなりません。達成が困難すぎたり、簡単すぎる目標ではモチベーションに影響を与える可能性があります。例: 「全てのスキルを完璧にする」ではなく、「今月はご案内を習得して、お客様に笑顔で帰って貰います」
- Relevant(関連性がある): 目標は組織や個人の長期的な目標や価値観に関連している必要があります。目標が大きな目的にどのように貢献するかを明確にします。例: 「料理を学ぶ」ではなく、仕事に関連した「3ヶ月以内にキッチンで全ての調理を完璧にします」
- Time-bound(期限がある): 目標には達成するための具体的な期限を設定します。これにより、進捗管理やモチベーションの維持がしやすくなります。例: 「もっと効率的に働く」ではなく、「今月中にドリンクのレシピを覚えて、レシピを見ずに作れるようになる」。
このように、飲食店のアルバイトの目標も具体的で測定可能な形に目標を設定することで、成長や改善をより効果的に追跡しやすくなります。
飲食店アルバイトとの個人面談のよくある質問
アルバイトの個人面談は誰がするべきですか?
アルバイトの個人面談は、原則として、直接指導している店長やリーダーが行うのが望ましいです。アルバイトは、普段から接している上司からのフィードバックやアドバイスをより受け入れやすく、信頼関係も構築しやすいからです。
ただし、店長やリーダーが忙しくて、十分な時間を取れない場合は、人事担当者やマネージャーが担当することも可能です。
個人面談はどれくらいの期間でするの?
個人面談の頻度は、アルバイトの経験や職種、お店の状況によって異なりますが、一般的には、以下のような頻度で行うのがおすすめです。
- 入社後3ヶ月以内は、1ヶ月に1回
- 入社後6ヶ月以降は、3ヶ月に1回
定期的な面談を通して、アルバイトの成長を継続的にサポートすることが重要です。
人事評価システムの活用は必要ですか?
人事評価システムを導入することで、個人面談をより効率的に行うことができます。
人事評価システムは、以下の様なメリットがあります。
- 評価項目を統一化し、客観的な評価を行うことができる
- 面談記録を管理し、過去の評価内容を振り返ることができる
- アルバイトの成長状況を可視化し、人材育成計画に役立てることができる
飲食店特化した、おすすめの人事評価システムもあります。
人事評価システムを導入し、評価基準の作成やマニュアルの作成、アルバイトの賃金テーブルの作成など最終的には、人件費の削減までできます。
人件費の削減をしながら、アルバイトの定着率の向上と組織強化を図れる仕組みを検討してみてください。
まとめ|アルバイトに個人面談をして、最強のチームを作って繁盛店にしよう
飲食店におけるアルバイトの定着率向上には、定期的な個人面談が効果的です。
個人面談を通して、アルバイトの目標設定を支援し、不安や悩みを解消することで、モチベーションを高め、長く働き続けられる環境を作ることができます。
また、コーチングを取り入れることで、アルバイトの主体性を引き出し、より効果的に成長を支援することができます。
人事評価システムの活用も検討することで、個人面談をより効率的に行うことができます。
定期的な個人面談を通して、アルバイトとの信頼関係を築き、最強のチームを作り上げ、繁盛店を目指しましょう。
1979年生まれ。飲食店で経営陣として15年、居酒屋・焼肉・焼き鳥・バル・カフェなど複数店舗を立上げ、その経験から飲食店経営のコツをコラムとして記載しております。現在は、飲食店ITコンサルタントと、集客と求人に強い格安ホームページ制作企業で100件以上の実績があります。
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